山形大学工学部 建築・デザイン学科 高澤研究室
Department of Architecture and Design Yamagata University Takasawa-lab
卒業研究
2023年度
■城下町における住宅地景観の特徴―米沢を事例に―
■地方自治体におけるスポーツ政策展開の有用性に関する研究ーシビックプライドの観点からー
■ふれあいの場としての神子田朝市の特徴と課題に関する研究
■東北地方の中小規模自治体における立地適正化計画の策定実態と課題
2022年度
■東北地方における市街地再開発による複合施設に関する研究
■SDGs未来都市政策の特徴と課題
■日本版MaaSの実態についての研究
■安全まちづくりのための犯罪抑止への一考察−官民の視点とその役割−
■地方圏のコワーキングスペースにおける空間デザインや家具・什器の配置に関する研究
2021年度
■地方都市の観光まちづくりにおける二次交通の可能性に関する研究〜天童温泉における実証実験を事例に〜
■地方における分散型ホテルの可能性に関する考察〜地方の空き家問題の実態から空き家の利活用方法を考える〜
■東北・北陸地方の中心市街地における都市公園の整備状況に関する基礎的研究〜山形市の都市公園における整備方針の検討〜
2020年度
■ふるさと納税型クラウドファンディングの現状とクラウドファンディングとの特性差
■日本におけるホスピタルアートを導入する医療機関の実態に関する研究
■山形市の中心市街地活性化とまちなか居住の推進に関する研究ファミリー層を対象として
■近代化産業遺産の利活用実態 ―文翔館を事例として
これまでの研究
高澤がこれまでに取り組んできた
主な研究の内容
都市再生に関する研究-統合的アプローチの解明
なぜ欧州では小規模な自治体でも持続可能な姿を保持しているのか。日本の地方都市の再生に貢献することを念頭に置き、欧州の都市再生の統合的なアプローチについて解明に取り組んできた。欧州では1990年代初頭から、物理的な都市基盤の整備だけではなく、雇用や地域経済の活性化など社会経済的な再生や、エネルギー効率等に配慮した環境的な再生など統合的アプローチで地域再生に取り組んできた。これらを支える仕組みや実践手法を解明するため、EU地域政策総局へのインタビュー、および個別プロジェクトのケーススタディを行うとともに、EU都市再生の研究者らとディスカッション等を行なった。その結果、事業の持続可能性を高めるために、事業の初期段階から多様な主体と連携し協同で事業を運営すること、自立した運営を見据えて事業期間中にマネジメントのできる人材を育成し、ノウハウを蓄積することが重要であることを明らかにした。一連の研究は住宅総合研究財団の助成制度によるものである。
① 福原由美, 連邦化以降のベルギーにおける都市政策の特質に関する研究,都市計画論文集,日本都市計画学会,No41, pp. 725-730,2006(査読有)
② 福原 由美・塩崎 賢明・堀田 祐三子・石川 路子,ブリュッセルにおける都市再生事業の特質に関する研究-Contrats de Quartier事業を事例として, 日本建築学会計画系論文集,日本建築学会、600号,pp137-144,2006(査読有)
③ 福原由美・角橋徹也,EU・都市再生事業の包括性・統合性・持続可能性に関する研究-アーバンパイロット事業Ⅰ期の事例研究を通じて-, 2005年住宅総合研究財団研究論文集、住宅総合研究財団,No.32
④ 福原由美・塩崎賢明・堀田祐三子, Urban Pilot ProjectⅠの事業枠組みとケーススタディ-アントワープBOMプロジェクトの場合, 日本建築学会計画系論文集, 日本建築学会、590号,pp.95-102, 2005(査読有)
都市ネットワーク・地域間協力に関する研究
地方中小都市の持続可能性を高める方策として地域間連携の可能性について研究に取り組んできた。欧州では、同じような課題をもつ都市同士がネットワークを組み、協力することで個別都市では取り組むことが難しい課題の解決を図ろうと試みている。このような地域間の協力は、域内における格差縮小によって、欧州全体の力を高めることを目指している。温室効果ガスの削減を目的とするネットワークに着目し、ケーススタディを行った。代表事務局へのインタビュー調査に加えて積極的に温室効果ガス削減に取り組む都市にアンケート調査を実施した。その結果、ネットワークはそれぞれの方法で取り組む都市相互のプラットフォームとして機能しており、温室効果ガス削減を達成しつつより豊かな社会の実現、すなわち低炭素社会を模索する動きを持続させる役割を担っていることを明らかにした。本研究は科研費若手研究(B)の助成を受けて遂行した。
① 高澤由美, 欧州における"プログラム型"都市ネットワークの特徴:,日本建築学会計画系論文集, 77(676), pp.1391-1396, 2012(査読有)
② 高澤由美・岡部明子、低炭素型社会実現を目指す自治体レベルの取組と水平型ネットワークとの関係に関する考察、日本建築学会技術報告集,日本建築学会, 第16 巻 第33 号,pp721-726,2010(査読有)
③ 高澤由美,欧州における地域再生のための都市ネットワークの特徴に関する研究,日本建築学会大会梗概集,日本建築学会,pp41-44,2010
④ 高澤由美・岡部明子,環境分野に関わる欧州レベルの自治体等ネットワークに関する研究,都市計画論文集,日本都市計画学会,No.43-3,pp349-354,2008. (査読有)
広域観光に取り組む自治体ネットワークに関する研究
広域スケールの地域発展戦略や地域間協力を、「観光」 という切り口で捉え直すことで、既存の行政単位や計画領域を超えた新たな水平連携による地域発展の可能性について考察した。国境を越えて広域観光に取り組む自治体ネットワークのひとつであるAlpine Pearls(以下AP)を事例対象として、広域観光のネットワークを運営するマネジメント手法に着目し、その特徴と課題を整理した。分析の結果、APのマネジメント手法には、(1)明確なコンセプトと目的の設定、(2)幅広い活動領域、(3)効果的なマーケティング・メディア戦略、(4)多様な主体とのパートナーシップ、という特徴があることがわかった。しかし、会員自治体の現状をみると、依然としてソフトモビリティよりも自家用車に依存する傾向があるなど、実質的な環境負荷の低減にはまだ課題が残されていることを指摘した。本研究は科研費基盤研究(C)の助成のもとで遂行することができた。
① 高澤由美, 国境を越える広域観光地域のマネジメント手法の特徴と課題, 都市計画論文集,日本都市計画学会47(3), pp.409-414,2012(査読有)
② 高澤由美. 欧州における観光地域づくりを目的とする組織の活動内容の変遷とその特徴に関する考察. 都市計画論文集,日本都市計画学会 52(3) ,pp582-587.2017(査読有)
縮小社会における地域版MICEモデルの探求
欧州および日本の地方都市におけるMICEの新たな可能性を模索してきた。我が国においては新たなMICE施設の整備や補助金の拡充による誘致競争が激化しているが、縮小する社会におけるMICEのあり方として,既にある地域資源を活用することを提案している。そのモデルとして温泉施設を活用した国際会議の事例を検証し、主催者、参加者、地域へのインタビュー調査の結果、それぞれから高い評価が得られていることを示した。本研究は科研費挑戦的萌芽研究の助成により推進した。
① 高澤由美. 地方におけるMICEツーリズムを支える体制・しくみに関する考察 . 日本建築学会梗概集 (都市計画),日本建築学会, pp 9-10.2018
② 高澤由美,地方都市における地域資源を活かした MICE の可能性に関する考察,地域活性研究Vol.11」2020.3掲載(査読有)
③ 高澤由美.環境負荷低減を目指すMICE:Green Meetingsのしくみと地域資源の活用に関する考察,地域活性研究,vol15,2021.10掲載(査読有)
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東北地方の空き家所有者の空き家活用意向に関する研究
空き家の増加は大きな社会問題となり、様々な対策が講じられている。地方都市では、人口減少や地域経済の停滞が深刻化するなか、自治体は空き家の発生予防や適正管理が求められるなど、その役割に大きな期待が寄せられている。しかしながら財源や人材等のリソースが限られ、細やかな対応は難しい自治体も少なくない。他方、民間企業の中には、新しい選択肢として戸建のリフォーム済住宅を市場に供給するビジネスモデルも確立されつつある。売買のみならず、物件に関するサービス等、市場に新たなニーズがあれば、地域企業が主体となって地域密着型の新しいビジネスの創出につながるとともに、自治体の負担を減らすことにもつながるのではないだろうか。そこで本稿では、空き家問題の解決につながる事業創出の可能性を探るため東北地方の中小都市に所在する空き家の所有者を対象に物件の活用意向の調査を実施し、新たなビジネスチャンスにつながるニーズの掘り起こしにつなげることを目的とする。本研究はYBSC事業創出マッチング研究支援事業の支援により実施した。
①高澤由美,東北地方の空き家所有者の活用意向に関する調査 市場流 通化に寄与する事業創出を念頭において,日本建築学会梗概集(建築社会システム),日本建築学会pp.339-341,2021
②高澤由美,東北地方の空き家所有者の空き家活用意向に関する実態 -市場流通化に寄与する事業創出を念頭において-,日本建築学会住宅系研究報告会論文集
Vol. 16, pp.7 -13,2021(査読有)